CFPが考える介護のリアル

CFPが「介護のリアル」についてデータ等を用いて解説します

「公的介護保険」ってどんな制度?

突然ですが「公的介護保険制度」について、どれぐらい内容を把握していますか?

日本は「公的保障制度」が充実しています。その一環として、40歳から「介護保険料」を徴収され、「公的介護保険制度」に加入しているのです。しかし多くの方が、「公的介護保険制度」がどの様な制度なのかを把握していません。

保険会社の「保険」に加入する際、保険会社にはお客様に保障の内容をしっかりと説明することが求められています。保険に加入する際、保険のパンフレットだけでなく、分厚い「約款」を渡されたり、いろいろな書類にサインしたりしますよね。しかし、既に介護保険料を徴収されている方で、「市区町村から詳しい説明を受けた!」という方はいらっしゃいますか?詳しく知りたかったら、自分で調べるしかないのです。なんだか、釈然としませんよね。

そこで今回から数回に渡り、介護保険とはどんな制度なのかを解説します。

※今回のブログでは「公的介護保険」を「介護保険」と記載します。

介護保険の役割>

介護保険とは、40歳以上の人が被保険者となり、老化や疾病により「要支援・要介護」認定を受けた場合に介護サービスを受けることができる制度です。

要支援・要介護者が適切な介護サービスを受けることにより、要介護者の自立支援や介護する家族の負担軽減が目的で、3年ごとに制度が見直され改正されます。

ここでよく勘違いされがちなのが、「保険」と名前がついている為、要支援・要介護状態になった際に「現金」が受取れると思われていますが、「現金」はもらえません。「介護サービス」を受けられる制度です。

 

介護保険の被保険者は誰?>

介護保険の被保険者は次の2種類に分けられています。

  • 『第1号被保険者』・・・65歳以上の人
  • 『第2号被保険者』・・・40歳~64歳の人

40歳以上になると、全国民が加入する制度です。会社員などでお給料を支給されている方は、40歳を過ぎた頃から「介護保険料」という名目でお給料から控除されます。40歳になると、突然お給料の手取りが減るわけです。

 

介護保険の保険料はいくら?>

保険料は、第1号被保険者と第2号被保険者で異なります。

【第1号被保険者の保険料】

市区町村が3年ごとに策定する「介護保険事業計画」での、予算の約20%を第1号被保険者が全員で賄うことになっています。

第1号被保険者の方、すなわち65歳以上の方がいくら介護保険料を支払うのかというと、それは住んでいる市区町村、そして本人の所得や世帯の課税状況に応じて異なります。住民税が決定する毎年6月頃に「介護保険料額決定通知書」というのが届き、そこに保険料がいくらか書いてあります。

平成28年のデータですが、厚生労働省が公表している「各都道府県平均保険料基準額」では、

一番高い都道府県は『沖縄県』で6,267円

一番安い都道府県は『埼玉県』で4,835円

となっています。住んでる場所によってそもそもの基準額が異なるということです。

それでは、介護保険料をどうやって納めるかというと、こちらも2種類あります。

  • 『特別徴収』・・・年金額が年額18万円(月額1万5千円)以上の人
  • 『普通徴収』・・・年金額が年額18万円(月額1万5千円)未満の人

「特別徴収」の場合は、2カ月に1回支払われる「年金」から自動的に差し引かれます。こちらもお給料から自動で控除されるのと同じ様に、年金から自動で控除されます。国民がお金をもらう時は申請しないともらえないことがほとんどですが、国民から徴収する時は、自動で徴収されるんですね・・・

「普通徴収」の場合は、送付されてくる納付書を使用して、銀行やコンビニなどで支払います。口座振替(自動払込)も利用できます。

 

【第2号被保険者の保険料】

加入する医療保険によって異なります。

『会社の健康保険に加入している場合』

介護保険料は、「標準報酬月額」と「標準賞与額」によって決まります。「標準報酬月額」と「標準賞与額」とは、細かい決め方がありますが、かなりざっくり言うと年収を12で割った金額のことです。

また、住んでる場所や自分の会社が加入している健康保険組合によっても、介護保険料は異なります。

そしてその額を労使折半します。半分は会社が払ってくれるということです。

さらに、国民年金の保険料と同じく、被保険者に扶養されている65歳未満の配偶者の介護保険料は、被保険者が支払う介護保険料で賄われる為、個別に支払う必要がありません。ちょっとうらやましいですね。

 

『自営業で国民健康保険に加入している場合』

介護保険料は、所得や資産、被保険者の人数などに応じて世帯単位で決まります。

こちらは先ほどとは異なり、被保険者に扶養されている配偶者も介護保険料を支払う必要があります。国民健康保険には「扶養」という概念がないのです。

 

第2号被保険者の介護保険料は、健康保険料の一部として納めることになっています。前述した通り会社員はお給料から天引きされます。自営業の方は、納付書を使用して銀行やコンビニ等で支払うか、口座振替で支払います。

 

<まとめ>

今回は「介護保険制度」の、「被保険者」と「保険料」について解説しました。たったこの2項目だけでも、かなりの文量になってしまいました。それほど「介護保険制度」は複雑な制度なのです。

また、まだ「要支援・要介護」状態に該当していない人が一番気になるのが「保険料」だと思います。この保険料ですが、人によって支払う金額がかなり異なります。既に「保険料」を支払っている人は自分がいくら支払っているかは、給与明細や通知書を見れば分かりますが、どういう計算式で算出されているかはかなり分かりづらいと思います。気になる方は、市区町村等に問い合わせてみてください。

次回は、「介護保険」の「受給要件」等を解説する予定です。それでは次回も是非ごらんください。