CFPが考える介護のリアル

CFPが「介護のリアル」についてデータ等を用いて解説します

「公的介護保険」は誰がどんな状態の時に、介護サービスを受けられる制度?

前回は「介護保険」の被保険者保険料について解説しました。

また「介護保険」は、要介護状態になった際に「金銭」を受取れるのではなく、「介護サービス」を受けることができるということをお伝えしました。

そこで今回は、誰がどんな状態の時に介護サービスを受けることが出来るのか、「介護保険」の「受給要件」について解説します。

※今回も「公的介護保険」を「介護保険」と記載しています。

 

<介護サービスを受ける為の要件>

介護保険を適用する「介護サービス」を受けるには、要支援状態もしくは要介護状態に認定される必要があります。しかし「介護サービス」を受ける為には要支援状態、もしくは要介護状態に認定されればいいのかというと、そうではありません。第1号被保険者と第2号被保険者では少し要件が異なるのです。

(認定されるための申請方法はまた別のブログで解説します。)

 

【第1号被保険者の要件】(65歳以上の人)

要支援状態もしくは要介護状態に認定されれば、その原因が何であれ介護保険を適用した介護サービスを受けることが出来ます。要介護度によって、受けられる介護サービスの量は異なりますが、要介護認定さえ受けられれば、介護サービスを利用することが出来ます。

 

【第2号被保険者の要件】(40歳~65歳未満の人)

要支援状態もしくは要介護状態になった原因が、加齢に伴う次の16種類の特定疾病による場合のみ介護保険を適用した介護サービスを受けることが出来ます。

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

第2号被保険者の人は、要介護認定を受けただけでは介護保険を適用した介護サービスを受けることができません。上記16種類の「特定疾病」が原因で要介護状態に認定されなくてはいけないのです。

例えば、冬にスキーに行って大怪我をして要介護状態になってしまったり、交通事故で半身不随になってしまったりしても、介護保険を適用した介護サービスは受けられないのです。

ポイントは「老化」に起因するか、しないか、ということです。

 

【40歳未満の人】

そもそもですが、「介護保険」は40歳以上の人が被保険者です。保険料も40歳から支払います。ですので当然ですが、何が原因で介護状態になっても、40歳未満の人は介護保険を適用した介護サービスを受けることはできません。

 

<要介護度とは?>

介護保険を適用した介護サービスを受ける為には、要支援状態もしくは要介護状態に認定されなくてはいけません。

「要支援状態」は身体の状態が軽い方から1・2の2段階に分かれています。

「要介護状態」は身体の状態が重い方から1・2・3・4・5の5段階に分かれています。

それではそれぞれがどの様な状態かを確認してみましょう。(出典:生命保険文化センター

【要支援1】

要介護状態とは認められないが、社会的支援を必要とする状態

食事や排泄などはほとんど一人で出来ますが、立ち上がりや片足での立位保持などの動作に何らかの支えを必要とすることがあります。

入浴や掃除など、日常生活の一部に見守りや手助けが必要な場合があります。

 

【要支援2・要介護1】

生活の一部について、部分的に介護を必要とする状態

食事や排泄などはほとんど一人で出来ますが、日常生活に見守りや手助けが必要な場合があります。

立ち上がりや歩行などに不安定さが見られることが多いです。

問題行動や理解の低下が見られることがあります。

この状態に該当する人のうち、適切な介護予防サービスの利用により、状態の維持や、改善が見込まれる人については【要支援2】と認定されます。

 

【要介護2】

軽度の介護を必要とする状態

食事や排泄に何らかの介助を必要とすることがあります。

立ち上がりや片足での立位保持、歩行などに何らかの支えが必要です。

衣服の着脱は何とかできます。

物忘れや、直前の行動の理解の一部に低下が見られることがあります。

 

【要介護3】

中等度の介護を必要とする状態

食事や排泄に一部介助が必要です。

立ち上がりや片足での立位保持などが一人でできません。

入浴や衣服の着脱などに、全面的な介助が必要です。

いくつかの問題行動や、理解の低下が見られることがあります。

 

【要介護4】

重度の介護を必要とする状態

食事にときどき介助が必要で、排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要です。

立ち上がりや両足での立位保持が一人ではほとんどできません。

多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがあります。

 

【要介護5】

最重度の介護を必要とする状態

食事や排泄が一人で出来ないなど、日常生活を遂行する能力は著しく低下しています。

歩行や両足での立位保持はほとんど出来ません。

意思の伝達がほとんどできない場合が多いです。

 

<まとめ>

40歳になったら全員が「介護保険」に加入しなくてはいけません。しかしなぜか65歳未満の人と、65歳以上の人で、介護保険を適用した介護サービスを受けられる要因が異なるのです。不思議な制度ですね。

要支援・要介護状態は7種類に分類されています。身体の状態が同じでも、認知症の症状があると少し重たく判定される様です。また、「要介護3の壁」という言葉がある様に、要介護2までは自宅で家族が介護をして生活できるけれども、要介護3以上になると自宅での介護は辛くなる方が多いそうです。

次回は、「介護保険」が適用される介護サービスの限度額について解説する予定です。それでは次回も、是非ご覧ください。