CFPが考える介護のリアル

CFPが「介護のリアル」についてデータ等を用いて解説します

「認認介護」の問題点は?生活は成り立つ?

前回のブログでは「認認介護」とはどういう状態で、どうして「認認介護」状態になってしまうのかを解説しました。

「認認介護」には様々な問題があります。そこで今回は「認認介護」の問題点を見ていきたいと思います。

 

<認認介護の問題点は?>

必要な世話をしたか分からなくなる

認知症の人が認知症の人を介護することで、お互いに薬を飲んだかが分からなくなることがあります。

服薬管理が出来ないと、飲み忘れや飲みすぎで体調を崩してしまい、場合によっては命に係わる状態に陥ることがあります。

 

過食・低栄養に陥ることがある

好きな物ばかりを用意することで栄養が偏ります。

また、食べたことを忘れてさらに食べてしまい、過食になってしまうこともあります。

おなかが空かなくて食べないことで、低栄養に陥ることがあります。

 

生活環境を維持できなくなることがある

光熱費などの支払いを忘れてしまったり、掃除ができずに家の中がぐちゃぐちゃになってしまうことがあります。

 

火事や事故等の危険が高まる

火の不始末により火事を起こしてしまうことがあります。

また、外を徘徊することで事故にあうこともあります。

 

緊急事態に対応できない

緊急時にどこに連絡したらいいかが分からないことがあります。

さらには、緊急だということ自体が分からないことがあります。

 

詐欺のターゲットになりやすい

悪徳商法や詐欺のターゲットになる可能性が高くなります。

また、詐欺にあったことが分からない場合もあります。

 

お金の管理が難しい

口座からお金をおろしすぎて、光熱費等の引落ができなくなることがあります。

また、暗証番号が分からなくなって、お金が引き出せないこともあります。

 

この様に、「認認介護」には様々な問題があります。さらに、どの問題も生活していくのに支障をきたす問題なのです。

 

<まとめ>

認知症の人は、コミュニケーションがうまくとれないことがあり、力づくでなんとかしようと思い、事故や事件につながることがあります。

また、認知症の介護者は、自分が何をしているのか、何をしたのか認識できないまま、加害者になってしまうこともあります。

高齢化が進み、老老介護が増えている日本では、認認介護はこのままどんどん増えていくと考えられています。

家族や地域とのコミュニケーションが希薄になってきていますが、認認介護を防ぐには、家族や地域とのコミュニケーションが大切です。とはいっても、なかなか難しいですよね。

認認介護は、解決することが難しい本当に深刻な問題です。認認介護への対策を早急に考える必要がありますね。

「認認介護」とは?どうして「認認介護」になる?

「認認介護」という言葉を聞いたことはありますか?前回のブログで「老老介護」を解説しましたが、老老介護から認認介護になってしまうこともあります。「認認介護」は「老老介護」よりも深刻な問題をはらんでいます。

そこで今回は「認認介護」について解説します。

 

<認認介護とは>

「認認介護」とは、認知症の高齢者が、認知症の高齢者を介護している状態のことです。

「認認介護」は「老老介護」が深刻化した状況です。

 

<認認介護はどんな問題がある?>

認知症の人が認知症の人を介護するということは、お互いが認知症の為、介護どころではないケースがあります。

さらに、認認介護は、介護放棄や虐待などに発展して、事件や事故を引き起こす可能性もあります。

高齢者が夫婦2人だけで暮らしている場合、家族や周囲の人が認知症に気付かずに、いつの間にか「老老介護」から「認認介護」になっているということも少なくないようです。

認知症の症状があっても、日常生活は送れる為、要介護申請をしていない人や、認知症という自覚がないまま介護を続けている人もいます。

2010年に山口県で行われた調査と推計では、在宅介護を行っている世帯の約10%が「認認介護」状態であるとされました。

この様に、「認認介護」はとても深刻な問題をはらんでいます。

 

認知症の人ってどれぐらいいる?>

こちらのデータは、年齢階級別の認知症の有病率を表しています。

出典:厚生労働省老健局「認知症施策の総合的な推進について」(令和元年6月20日

 

このグラフを見ると、80~84歳の認知症有病率は22.4%となっていることから、老老介護状態で夫婦2人ともに80歳以上の場合、10%、およそ10組に1組が「認認介護」の状態であると考えられます。

さらに、年齢が上がっていくとともに、認認介護状態の割合は増えていっていることが予想されます。

また、正常な状態と認知症の中間と言われる「MCI」(軽度認知障害)であるとされる65歳以上の高齢者の割合は13%、およそ400万人にのぼるという出たがある為、認認介護予備軍も多いと考えられます。

 

<介護が必要となった原因は?>

こちらのグラフは、要介護状態となった主な原因を表しています。

出典:厚生労働省国民生活基礎調査の概況」(2019年)

 

こちらのグラフを見て分かる様に、要介護状態になった原因の第1位は「認知症」なのです。

さらに、要介護度別に見てみるとこの様になります。

出典:厚生労働省国民生活基礎調査の概況」(2019年)

 

こちらを見ても、認知症が原因で要介護状態になっている人が多い、ということが分かります。

例えば、要介護1の場合、29.8%人が認知症が原因で要介護状態になっているので、夫婦2人とも要介護1の場合、2人とも認知症という確率が高くなります。

 

<まとめ>

年齢が高くなるに伴って、認知症を発症する確率が高くなります。それに加えて、夫婦2人のみで生活している人が多いので、「老老介護」から「認認介護」に移行してしまう世帯が多くあります。

子どもや親戚に迷惑を掛けたくないと思い、夫婦2人のみで生活をしている人はたくさんいます。どちらかが認知症を発症してしまうと、もう片方の人に過度なストレスがかかり、その人も認知症になってしまうこともあるようです。

「認認介護」は様々な問題をはらんでいて、事件や事故につながりやすい状態です。次回、認認介護の問題点について詳しく見ていきたいと思います。

老老介護の実態は?老老介護の問題点は?

前回のブログでは、老老介護増加の原因について解説しました。老老介護はこれからどんどん増えていくと考えられます。

そこで今回は、老老介護の実態並びに、老老介護の問題点をみていきたいと思います。

老老介護の実態は?>

まずは老老介護の実態を見てみたいと思います。

こちらは要介護者等との続柄別主な介護者の構成割合です。

出典:厚生労働省国民生活基礎調査の概況」(2019年)

 

こちらを見て分かる通り、介護者はやはり配偶者が一番多く、次いで子、子の配偶者となります。多くの場合、高齢者の配偶者は高齢なので、老老介護になってしまう訳です。

次に、要介護度別にみた同居の主な介護者の介護時間の構成割合を見てみましょう。

出典:厚生労働省国民生活基礎調査の概況」(2019年)

 

こちらは介護者が介護に割いている時間のグラフです。要介護3になるとほとんど終日介護に充てている人が約3割、要介護4になると約5割、要介護5になると約6割となります。介護度が重たくなればなるほど、介護に充てる時間が増えていきます。

もし要介護5の夫を介護している妻、もしくは要介護5の妻を介護している夫がいるとすると、ほとんどの時間を介護に費やしているということですね。その人が高齢者だとしたら、身体的にかなりきついのではないでしょうか。

 

老老介護の問題点は?>

それでは最後に、老老介護の問題点をみていきましょう。

①介護者の肉体的な負担が増える

介護される人を抱きかかえる際に腰を痛めたり、一緒に転倒してしまうこともあり、介護者が介護できない状態になってしまうことがあります。

妻が夫を介護している場合などは、夫の方が体重が重たいこともあり、妻の腰痛は深刻な問題です。

その場合は、こういったものを使うのも1つの手ではないでしょうか。

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②介護者のストレスから要介護者への虐待行為に結び付くことがある

介護者がほとんど1人で介護を担っている場合、介護者にはとてもストレスがたまります。ストレスのはけ口が要介護者への虐待となってしまうこともあります。

 

③「共倒れ」状態になることがある

肉体的、精神的な限界がきて、要介護者とともに介護者が共倒れ状態になってしまうことがあります。

 

④強いストレスが認知症を引き起こすという研究結果がある

要介護者に付きっ切りで介護していると、社会的つながりが減り、コミュニケーション不足や運動不足に陥りやすく、脳の機能が低下して介護者自身も認知症を発症する場合があります。その結果、老老介護から認認介護になってしまう場合があります。

 

⑤介護する人がいなくなる

介護者も高齢の場合、介護者が先に亡くなってしまうこともあります。そうすると、介護する人がいなくなってしまいます。

 

⑥介護にかかる時間が増加する

高齢者は、若い人と比べて体力がないことから、介護にかかる時間が長くなる可能性があります。

こういったもの着る、筋肉。マッスルスーツEvery(エブリィ)を活用して、介護にかかる負担を減らすことを検討してみるのも1つの解決策です。

 

⑦介護者の社会的接点の減少、閉じこもりにつながる

介護にかかる時間が増えたり、家を空けづらくなったりすることで、介護をする人と社会とのつながりが減少するケースもあります。

社会的ネットワークが弱くなると、介護をする側の精神状態に悪影響を及ぼしたり、介護する側とされる側の孤立を招いたりします。

 

⑧介護者がうつ状態になる

身体的な負担の大きさや、将来への不安が精神的な負荷につながることで、抑うつ状態になってしまうこともあります。

 

<まとめ>

このように「老老介護」には問題点がたくさんあります。

介護殺人や介護心中という悲惨な事件は、老老介護であったために起こったものが少なくなく、老老介護の問題点を浮き彫りにしています。

このような問題が起こる前に、元気なうちから要介護状態になった時の対応について、家族間でよく相談しておく必要があります。

ここまで「老老介護」について見てきましたが、次回は「老老介護」と同じぐらい問題になっている「認認介護」について見ていきたいと思います。

老老介護とは?なんで老老介護が増加しているの?

老老介護」という言葉を聞いたことはありますか?最近ニュースなどでよく耳にする様になってきたのでご存じの方も多いと思います。

以前のブログで、高齢者人口が増えているということを解説しましたが、高齢者人口が増えることでこの「老老介護」も増えているのです。

そこで今回はこの「老老介護」が増えている原因というのを見ていきたいと思います。

 

老老介護とは?>

老老介護とは、65歳以上の高齢者を、65歳以上の高齢者が介護している状態をいいます。

例えば、75歳の夫を70歳の妻が介護していたり、85歳の親を65歳の娘が介護していたり、というケースです。

高齢化の進展に伴い、要介護者が増加し、介護する側の深刻な実態が浮き彫りになっています。

 

老老介護の実態は?>

それでは「老老介護」の実態はどの様な感じなのでしょうか。

こちらは、要介護者等と同居の主な介護者の年齢組み合わせ別の割合の年次推移を表したグラフです。

出典:厚生労働省国民生活基礎調査の概況」(2019年)

 

このグラフを見て分かる通り、2019年は、60歳以上の要介護者を60歳以上の介護者が介護している割合が74.2%、65歳以上の要介護者を65歳以上の介護者が介護している割合が59.7%、そして、75歳以上の要介護者を75歳以上の介護者が介護している割合が33.1%となっています。

3割以上のご家庭で、75歳以上の人が75歳以上の人を介護しているんです!

2001年にはその割合は18.7%だったことを考えると、この先もどんどん増えていくことが予想されますね。

 

老老介護増加の原因は?>

それではなぜ老老介護が増えているのかを見ていきましょう。

 

①平均寿命と健康寿命の差が大きくなっている

医療の進歩に伴って、日本人の平均寿命は年々伸びていますが、「健康寿命」と「平均寿命」との差が目立つ様になってきました。

健康寿命」とは、介護無しで日常生活を営める期間のことで、健康寿命と平均寿命の差は、そのまま「要介護期間」という事もできます。

現在の「健康寿命」と「平均寿命」はこの様になっています。

出典:厚生労働省健康寿命の令和元年値について」(令和3年12月20日

 

このグラフを見て分かる通り、男性は健康寿命と平均寿命の差が8.73年あります。女性は12.06年あります。すなわち、男性は約9年、女性は約12年、「要介護」の期間があるということです。

親の介護が始まった時には50代だった子供が、介護を続けていくうちに60歳を超え、老老介護に突入するという状況が起こります。

介護施設を利用するための準備をしても、介護者に比較的体力がある年齢の場合は、入所の順番待ちをすることになり、待っている間に老老介護に突入してしまうケースも考えられます。

 

核家族化の伸展

最近、サザエさんに見られるような、親と同居している人は少なくなってきました。周りを見てみても、2世帯や3世帯一緒に暮らしている人は、なかなか見つけられないのではないでしょうか。

一般世帯の家族類型別割合の推移はこの様になっています。

出典:総務省統計局「令和2年国勢調査

 

このグラフを見て分かる通り、核家族化が進んでいます。子ども世帯と別居する世帯が増えた為、子どもが遠くに住んでいるなどの理由で、子どもに助けてもらうことが出来ず、高齢夫婦で老老介護を余儀なくされているのです。

また、最近はわが子に迷惑をかけたくない、と考える親も多い様です。

 

③他人に助けを求めることへの抵抗感を感じる

他人に助けを求めることに負い目を感じたり、他人を家に入れることへの警戒心がある人も多くいます。

昔は、近所の人が玄関を開けて普通に家の中に入ってきていましたが、今では近所づきあいも希薄となり、そんなことは滅多にないのではないでしょうか。

また、介護は入浴や排泄など、デリケートな領域もケアするので、第三者に任せることに抵抗を感じる人もいるようです。その為、介護ヘルパーでさえ家に入れたがらない人もいます。

 

④金銭的な理由

介護サービスを利用するには、最低でも1割を自己負担しなくてはいけません。介護施設に入居するのにも、お金がかかります。

その為、金銭的な理由から介護サービスを利用したくても出来ないご家庭の場合、仕方なく夫が妻を介護する、妻が夫を介護する、ということになります。

 

⑤現行の介護保険制度の問題

現行の公的介護保険制度は、「強い介護者」をモデルとして作られています。

どういうことかというと、現行の介護保険制度は、介護者として「若くて体力があり、時間に余裕がある家族」を想定しています。要するに「同居している無職の嫁」などを介護者として想定しています。その為、家事援助などの軽いサービスは、不要であると想定されているんです。

 

<まとめ>

以上のことから、「老老介護」はどんどん増えています。

次回のブログでは「老老介護の実態」と、「老老介護の問題点」を見ていきたいと思いますが、「老老介護」はこれからさらに増えていくと考えられます。国が画期的なサービスを開始しない限り、これは避けられない現実です。

現行の介護サービスは、要介護者の身体に関わることしか助けてもらえません。例えば、介護者のごはんを作ってもらったり、介護者が寝起きする部屋を片付けてもらったり、介護者の服を洗濯してもらったりは出来ないのです。

金銭的に余裕があるのであれば、家事代行サービスを利用してなるべく介護者の負担を減らすことも考えてみるべきだと思います。

例えばこちらのサービス、

WEBから1分で予約可能。お財布と心が笑顔になる家事代行サービスCaSy

スマホから24時間予約することができます。介護を担っている親に対して、同居していない子どもからプレゼントしてみてもいいかもしれません。

子どもが遠くに住んでいる場合、自分が帰省するよりも安い金額で家事代行サービスを親にプレゼントすることもできます。

この様なサービスを積極的に活用して、介護者の負担を減らすことを検討してみてください。

「介護離職」しないために使いたい制度

ここまで「介護離職」について解説をしてきましたが、「介護離職」はできるだけ避けたいですよね。そして国もできるだけ「介護離職」は避けてもらいたいと考えています。そこで今回は、「介護離職」を避ける為に活用したい制度について解説します。

 

<支援制度>

①介護休業

原則として「要介護状態」の家族を介護する会社員などは、育児・介護休業法に基づき「介護休業」を取得することが出来ます。

「要介護状態」とは、負傷、疾病などにより2週間状にわたり常時介護を必要とする状態のことをいいます。

「対象となる家族」とは、配偶者(内縁含)、父母、子、配偶者父母、祖父母、兄弟姉妹、孫があてはまります。

「休業できる期間」は、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに3回を上限として、通算93日までです。

「手続き」は、休業開始予定日と休業終了予定日を決めて、原則として2週間前までに、書面等により会社側に申し出る必要があります。

同じ事業主に1年以上雇用されていることなどが条件として設けられています。介護休業を取得することが決まったら、なるべく早く会社に届け出ておくとスムーズに取得することが出来ます。

 

②介護休業給付金

介護休業を取得した雇用保険の被保険者(65歳未満の一般被保険者、65歳以上の高年齢被保険者)は原則、「介護休業給付金」を受給できます。

給付額は原則として、休業開始前の給与水準の67%です。

ただし、休業中に給与(介護休業の期間を対象とする分)が支払われた場合、介護休業給付金は減額・または不支給となる場合もあります。

※介護休業給付金には、上限額および下限額が決められています。

なお、同一の対象家族について、介護休業給付金を受けたことがある場合でも、異なる要介護状態で再び介護休業を取得した時には、介護休業給付金を受給できます。

ただし、同一の対象家族について受給できる日数は通算93日までです。

介護休業給付金は、介護離職を防ぐために経済的に支援する雇用保険給付です。正社員だけでなく、契約社員などでも条件を満たせば利用することが出来ます。

 

③介護休暇

要介護状態にある対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日を限度として、時間単位から取得できます。

通院等の付き添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行等にも利用できます。

 

④勤務時間の短縮等の措置

要介護状態にある対象家族1人につき、介護休業とは別に、勤務時間の短縮の措置を2回以上利用が可能とするなど、会社側は以下のうち少なくとも1つの措置を講じなければならないとされています。

・短時間勤務

フレックスタイム制

・始業、就業時刻の繰上げ、繰下げ

・介護サービス費用の助成

 

⑤法定時間外労働の制限

介護者が申し出た場合には原則、会社側は所定労働時間を超えて労働させることが出来ません。また、申し出がある場合は1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはいけないことになっています。

 

⑥深夜業の制限

④⑤⑥の制度は、勤務時間に制限を設けて仕事の負担を減らす制度です。

今回ご紹介した制度というのは、「自分が介護を行う期間」ではありません。今後、「仕事と介護を両立する為に体制を整える為の期間」です。

しかし、これらの制度は大企業で働いている会社員はしっかりと活用できるかもしれませんが、中小企業で働いている方、契約社員派遣社員の方は、会社の理解が得られないとなかなか活用するのが難しいかもしれません。

これから来ると言われる「大介護時代」においては、誰もが他人事ではありません。みんなで協力し合ってみんなが仕事を続けられるように、現役世代に向けて様々な周知が必要なのではないでしょうか。

<介護に関して知っている事>

介護離職を避ける為に、様々な制度が用意されていますが、この中で知っている制度はありましたか?「介護休業」と「介護休暇」が違うことはご存じでしたか?

「介護休業」は自分が介護を担う為の休業ではなく、仕事を続ける為に介護体制を整える為の期間だということはご存じでしたか?

親族が突然要介護状態になってしまった場合、介護施設を見つけるにも時間がかかります。最近は介護施設が一覧になっているサイト【LIFULL介護】 もたくさんあります。

こういったものを活用しながら、介護者と要介護者双方に負担がかからないような体制を、このような制度を活用しながら整えたいものです。

「介護」とは関係の無い生活を送っている多くの方は、この様な制度があることを知らないと思います。そこで、「介護に関して知っていること」を正社員として働いている人に聞いた結果がこちらです。

出典:厚生労働省「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」(令和元年度)

 

この調査結果から分かる様に、多くの人は「介護」に関しての制度を知りません。そうですよね。大々的に広報されていませんし、自分が「介護」の当事者にならない限り調べることもないと思います。

しかし、いざ「介護」の当事者になってしまったら、日々の生活に追われてゆっくり調べる時間をとることが難しいかもしれません。

 

<まとめ>

ここまで何回かに渡り「介護離職」について見てきました。

普段、多くの要介護者やその家族と接する機会の多いケアマネージャーによると、「介護離職しても何も変わらない」そうです。

「介護離職して良かった」と感じる人は少ないのです。

さらに、離職するのは簡単ですが、再就職するのは困難です。

現状に耐えられずに離職してしまう前に、周りの人と相談し、自分の不安や悩みを少しでも解消することが大切です。

仕事は出来る限り続けた方が良く、介護離職を回避することで、家族全員が幸せな道を歩める場合もあります。悩んだら一人で抱え込まず、とにかく誰かに相談してみてください。

介護施設に頼ることも1つの手です。【LIFULL介護】

 

 

介護食の宅配ってどんなサービス?どれがお勧め?「介護食3選」

在宅介護を行う場合、要介護度が重ければ重いほど身体介護が大変になります。そんな中、外部の業者にお願いできることはお願いすることで、介護の負担が少し軽くなります。

そこで今回は、「介護食の宅配」サービスについて見ていきたいと思います。介護食の宅配は様々な会社が提供しているので、その中から3つの会社もご紹介します。

 

<介護食の宅配って?>

介護食を自宅まで届けてくれる「高齢者向けの食事宅配」サービスです。

介護食はカロリーや塩分、糖質、タンパク質を抑えたり、柔らかく作ったりと、通常の食事とは異なり、作るのに専門的な知識が必要だったり、時間がかかったりします。

身体介護をしながら、手間のかかる介護食を作ることは、介護者にとってとても負担となります。そこでこの「介護食」を自宅まで宅配してくれるサービスを利用することで、介護者の負担をかなり減らすことが出来ます。

 

<介護食の種類は?>

常温タイプ

受取ってそのまますぐに食べることが出来ます。電子レンジなどを使用する必要がないので、要介護者自らが準備することも出来ます。しかし、保存がきかず、配達の人から直接受け取る必要があります。

 

冷蔵タイプ

冷凍よりも温めやすく、美味しいことが多いです。冷蔵ボックスを利用すれば、対面じゃなくても受取れることがあります。しかし、夏場は傷みが心配です。

 

冷凍タイプ

冷凍されたお弁当が届きます。保存がきくので数日分をまとめて受取ることも可能です。食べる時は解凍する必要がある為、食べられるようにするまでに少し時間がかかります。

 

お弁当だけでなく、お惣菜だけを届けてくれたり、好きなおかずだけを頼むことができるサービスもあります。介護者と要介護者それぞれの状況にあったサービスを選びたいですね。

 

<介護食宅配3つのサービス>

介護食の宅配サービスには、多くの業者があります。そこで今回は、3つのサービスをご紹介します。

 

全国に宅配可能【メディミール】

管理栄養士が栄養バランスを考えながら献立を考えています。調理の段階では、食品添加物や合成着色料を一切使わず、一品一品細かく栄養成分を調整しながら手作りされています。

150種類以上のメニューが用意されているので、1日3食食べても1カ月毎日違うメニューが食べられます。しかし、そんなにたくさん種類があると、自分に合ったメニューがどなのか迷ってしまいますよね。そんな時は、管理栄養士が電話でどのメニューが自分に合うのか、アドバイスもしてくれます。

全国に宅配が可能なので、遠くに住んでいる要介護者に届けることも出来ます。

 

総出荷600万食突破!栄養価を徹底管理した健康宅配食【メディカルフードサービス】

糖尿病、腎臓病、高血圧などで食事制限のある方、噛む力や飲み込む力が弱い方向けのお弁当もあります。

また、味にこだわりたい方向けの高単価のお弁当もあります。

レンジでチンするだけなので、一人暮らしの方でも手軽に食べる事が出来、全国へ送料無料で宅配されるので、遠くに住んでいる要介護者に届けることも出来ます。

 

ちょっとやわらかめ宅配食はこちら

噛む力や飲み込む力が弱い方向けのお弁当です。

やわらかさは、①厚焼き卵ぐらいのやわらかさ、②だし巻き卵ぐらいのやわらかさ、③スクランブルエッグぐらいのやわらかさ、と3種類から選ぶことができます。

レンジで温めるだけで食べられるので、一人暮らしの方もすぐに食べることが出来ます。また、介護者の方の手間も少なくなります。

全国へ宅配できるので、遠くに住んでいる要介護者に届けることができます。

 

まとめ>

介護食の宅配サービスを利用することは、メリットが多くあります。

1つはもちろん、介護者の介護負担の軽減にあります。

そしてもう1つは、要介護者が栄養バランスのとれた食事が出来ることです。身体介護を担う介護者が、手の込んだ料理を作る事は時間的に難しいことが多いですし、家庭の料理は、よほどの料理好きでなければバリエーションも限られてしまいます。

民間の介護食の宅配サービスを利用することで、費用はかかります。しかし、食費は元々、公的介護保険制度の対象外となっていますし、必ずかかる費用です。

自分で作るよりは少し割高になることがあるかもしれませんが、介護者の時間の負担が軽減されたり、要介護者がバランスのとれた食事をとれるというメリットを得られることを考えると、それほど高い物ではないかもしれません。

今回ご紹介したサービス以外にも、様々な宅配サービスがあるので、自分に合ったサービスを選ぶようにしたいですね。

介護離職のメリット・デメリットって?再就職はできる?

前回は「介護離職」の現状について解説しました。介護と仕事の両立が厳しくなることで、介護離職を選択してしまう方が多くいらっしゃいます。

しかし、介護離職を選択しても、日々の様々な負担は軽くなるどころか、逆に重たくなってしまうという現実があるのです。

ただし悪いことばかりではありません。そこで今回は、「介護離職」のメリットとデメリットを見ていきたいと思います。

 

<介護離職のメリット>

心身の負担が軽減できる

介護に専念できるので、要介護者をほったらかしにしているという罪悪感から逃れられることがあります。しかし、前回のブログで解説した通り、介護離職をすることで「精神的」な負担が増えてしまった方も多くいらっしゃいます。

 

介護費用を軽減できる

家族が中心となって介護を担う場合、公的介護保険制度を活用した「介護サービス」を利用することもありますが、「介護サービス」の利用頻度を減らすことができます。公的介護保険制度を活用した「介護サービス」であっても、利用には最低でも1割は自己負担しなくてはいけません。そこで「介護サービス」の利用を減らすことで、介護にかかる費用を軽減することが出来ます。

 

仕事の負担が無くなり、介護に集中できる

仕事のことを考えなくてもよくなる為、ストレスが減ります。介護の為に仕事を休んだり、定時で退社したりする場合、周りの目が気になることもあったかもしれません。そういったストレスを無くすことができます。

 

要介護者の希望を叶えやすくなる

介護者が介護に専念することで、お互いにコミュニケーションが鳥安kなり、要介護者は見放されていないと感じることができます。その結果介護者・要介護者双方の精神的な負担が減ります。

 

<介護離職のデメリット>

収入が減少する

介護離職することで収入源を失ってしまい、貯蓄を取り崩していくことになります。

要介護者の年金や貯蓄を使っての生活を考えていても、介護期間が長引いたり、介護施設に入居することになったりすると、資金が足りなくなってしまうことも考えられます。

自分が介護を担うことで「介護」にかかる費用は削減できますが、収入源が無くなるというのは、金銭的にはかなりデメリットとなります。

 

退職金・年金が減少する

介護離職することで、毎月のお給料が受取れなくなるのはもちろんですが、長く働くことで増えていくはずの退職金も辞めた時点での金額で受取ることになります。

また、会社員として働いていた場合は「厚生年金」に加入していることから、老後に受取れる年金額が、自営業者等の「国民年金」のみの受給者よりも多くなります。しかし介護離職してしまうと、厚生年金加入者ではなくなる為、将来受け取れる年金額も定年まで働いた時よりも少なくなってしまいます。

 

自身の老後資金の備えが不十分になる

介護離職することで、定年まで働いた場合よりも、毎月の収入、ボーナス、退職金、年金、全てが少なくなってしまいます。すなわち、介護離職することで、一生涯で受取れる収入全体が減ってしまうのです。

その為、自分の老後資金を貯めることが難しくなり、将来自分の生活が困窮してしまうかもしれません。

 

好きな仕事、やりがいのある仕事を続けられなくなる

働いているのはお金の為だけではない人もいます。好きな仕事だったり、やりがいのある仕事を続けられなくなることで、余計にストレスを感じることもあります。

 

築いてきたキャリアを失う

介護が終わり、仕事に復帰しようと思っても、以前と同様のキャリアを築けるとは限りません。管理職だった人は、管理職という立場で就職することが難しいかもしれません。やりたい仕事ができず、これまでの努力が実らなくなり、介護後の仕事に不満を覚えてしまうケースがあります。

 

再就職が難しくなる

介護期間はキャリアが空白となってしまい、就職自体が難しいかもしれません。希望の職業に再就職できる可能性は、介護離職しなかった場合と比べると、かなり低くなってしまいます。

 

介護に掛かりきりとなり、自分の自由な時間が確保できない

介護離職することで、「介護」に専念しなくてはいけないと自分を追い込んでしまうこともあります。また、周りの家族からも、仕事をしていないんだからと、無言のプレッシャーを感じてしまうかもしれません。

そうすることで、介護に掛かりきりとなってしまい、自分の自由な時間が確保できず、精神的に追い詰められてしまうことがあります。

 

精神的にストレスが溜まっていく

介護に対しての精神的なストレスだけでなく、将来への不安が精神的なダメージにつながることもあります。

介護はゴールが見えません。長期間に及ぶことも多く、先の見えない生活に不安を覚える人は少なくありません。

メンタルが不安定になると、要介護者・介護者が共倒れしてしまことにもなります。仕事を辞めて社会的なつながりが薄くなると、この傾向が強くなるので注意が必要です。

 

<介護離職してから再就職していない理由は?>

介護離職のデメリットとして、再就職が難しいということを上述しました。そこで、介護を機に仕事を辞めてから現在まで、再就職していない理由を見てみましょう。

出典:厚生労働省「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」(令和元年度)

 

こちらの調査結果を見ると、働く意欲があっても希望する就職先が見つからない方が多くいらっしゃることが分かります。やはり一度「介護離職」してしまうと、希望する仕事での再就職はなかなか難しそうです。

 

<介護離職後の再就職の状況は?>

次に、介護離職後に再就職した方たちの働き方を見てみましょう。

出典:厚生労働省「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(平成24年度)

 

介護離職後の再就職についての調査によると、介護離職後に再就職できた人の割合は、介護離職者全体の3割ほどという結果が出ています。

再就職が難しい理由としては、「年齢的な問題」「職歴の空白期間」「介護と就職活動の両立の難しさ」が挙げられます。

また、離職前と同じく正社員としての再就職はさらに難しく、収入は離職前より下がるケースが多いようです。

 

<まとめ>

「介護離職」にはメリットもあります。しかし今回見てきたように、デメリットの方が多くあります。

いろいろな事情から介護離職を選択せざるを得ない人もたくさんいらっしゃいます。しかし、介護が終わった後には、まだ自分の人生があります。介護を担う為とはいえ、その後の自分の人生が立ち行かなくなるという事態は避けたいものです。

全部自分がやらなくては!と思わずに、周りの人に助けを求めましょう。最近は、介護施設もインターネット【LIFULL介護】 で簡単に探すことができます。

その為には、介護に関する様々な制度を活用するのも1つの方法です。そこで次回は、公的な「支援制度」について見ていきたいと思います。是非次回もご覧ください。

 

 

「介護離職」とは?介護離職の現状を確認します。

ここまで「公的介護保険制度」の仕組みや、「在宅介護」「施設介護」の現状を様々なデータとともに見てきました。

日本は高齢者人口がどんどん増えていっています。それに伴い【介護】の現状はなかなか厳しいことを実感いただけたのではないでしょうか。

そこでここからは、厳しい【介護】の現状に伴い、現在起こっている様々な問題をみていきたいと思います。

今回は最近よく耳にする様になった「介護離職」についてです。

 

<介護離職とは>

介護離職とは、「家族の介護」と「仕事」の両立が困難となり、仕事を辞めることです。

介護には休みがないため、昼間はフルタイムで働き、帰宅後は介護を行う状況が長く続くと、介護者は心身ともに疲弊してしまいます。

「仕事」と「介護」の両立が難しいと、つい「介護に専念すればラクになるのでは?」と考えがちです。しかし、本当にそうなのでしょうか。

徐々に辛い立場に追い込まれてしまうこともある様なのです。

 

<介護離職した人はどれぐらい?>

それでは、年間でどれぐらいの人が「介護離職」をしているのでしょうか。

2020年に介護・看護の為に離職した人数は

70,500人

です。男女の内訳はこちらです。

出典:厚生労働省「雇用動向調査」(2020年)

 

やはり、女性が多いですね。

また、「介護離職」した人の年齢・男女別はこの様になっています。

出典:厚生労働省「雇用動向調査」(2020年)

 

一般的に、介護と仕事の両立が求められることが多い世代には、勤続年数の長い従業員や管理職など、企業の中核を担う人材が当てはまります。

その方たちが介護離職してしまうと、企業にとっても大打撃になってしまいます。

 

<介護離職の理由>

それでは、介護離職の理由を見てみたいと思います。

出典:厚生労働省「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」(令和元年度)

 

こちらのグラフは、介護を機に仕事を辞めた理由の上位5つです。

1位は、「仕事と介護の両立が難しい職場だったため」ということで、約60%を占めています。

これは、様々な要因が考えられますが、もしかしたら介護の為に仕事を休んだり、定時で退社したりすることが難しかったのかもしれません。

そうなると「介護離職」という選択をするしかなくなってしまいます。

また他にも、介護を担う人が自分しかいなくて、しょうがなく介護離職してしまったり、仕事と介護を両方担うことで体調を崩してしまい介護離職に至ってしまったり、要介護者が介護施設へ入所できずに介護の負担が増えた為に介護離職をしてしまったりと、「介護離職」をした理由は様々ですが、多くの場合ポジティブな離職ではありません。

 

<介護離職したら本当に楽になる?>

仕事と介護の両立が厳しくなり介護離職をしてしまうわけですが、それでは介護離職したら本当に生活は楽になるのでしょうか?

介護離職をした後の自身の変化を見てみましょう。

出典:厚生労働省「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」(令和元年度)

 

こちらのグラフを見てみると、介護離職を選択することで介護者の「心身」あるいは「経済的」な負担が軽減できると考えていたのに、実際は、「精神面」が56%、「肉体面」が51%、「経済面」が69%、介護離職後の「負担が増した」と答えている人がいるのです。

要するに、いろいろ追い詰められて介護離職を選択しても、何も楽にならない事が多いということです。

仕事を辞めて収入が減ったことで経済的に厳しくなり、その結果介護サービスの利用を少なくしなくてはいけなくて、心身共に負担が増えてしまうこともあります。

また、仕事をしている間は介護から離れ、気分転換になっていたのに、介護に専念することでストレスのはけ口が無くなってしまい、精神的に追い詰められてしまうこともあります。

この様に、介護離職をすることでよりいろいろと苦しくなってしまう方が多いのです。

 

<まとめ>

介護の負担が重たくなると、仕事との両立が困難になり、介護離職という選択をされてしまう方がいらっしゃいます。しかし「介護離職」は、自分にとっても会社にとっても大きなダメージになります。

その為、国も「介護離職」を避けるための様々な制度を用意しています。自分の体調や、周りの人の目も気になるかもしれませんが、できるだけ「介護離職」は選択しない方が良いと思います。

また、全部自分で抱え込まず、様々な制度や外部の業者に委託するなどして、少しでも自分や家族の負担が減る様にしたいですね。

例えば家事代行サービスを利用して、家の掃除をしてもらったり、料理を作ってもらうのも1つの手だと思います。

家事の時間を、家族の時間に。家事代行サービスCaSy

他にも、宅食サービスを利用してお弁当を定期的に届けてもらうのも良いと思います。

「介護」は自分が担いたい!と考えている方でも、家の掃除や自分のごはんなどは、外部業者にまかせるといいのではないでしょうか。

次回は、介護離職のメリット・デメリットを見ていきたいと思います。是非次回もご覧ください。

「施設介護」のメリット・デメリットは?

前回のブログでは、様々なデータから「施設介護」に至る「要介護度」について見ていきました。そこで今回は、「施設介護」のメリットとデメリットを見ていきたいと思います。

 

<「施設介護」のメリットとは?>

介護のプロに任せられる

施設に入居することで、介護のプロが介護にあたってくださいます。その為、要介護者は質の高いサービスを受けることが出来、それが要介護者やその家族の安心感につながります。

【LIFULL介護】

 

家族以外の人と交流でき、社会性を保てる

「在宅介護」では、要介護者と接する人の大部分が「家族」になってしまいますが、「施設介護」では家族以外の人と接触する機会が多くなります。

その為、家族以外との接触が刺激となり、病状の進行を遅らせることができることがあります。

【LIFULL介護】

 

介護をする側の「時間的」「精神的」「肉体的」な負担が軽減できる

これは言うまでもありませんが、介護者である家族の「時間的」「精神的」「肉体的」負担を軽減できます。

要介護者の「自宅で最期を迎えたい」という希望を叶える為に、介護者が様々な負担を抱えて「在宅介護」をしている事が多いですが、「負担」が重たくなりすぎると介護者が倒れてしまうこともあります。

介護者が倒れてしまえば、要介護者も生活が成り立たなくなってしまいます。いわゆる「共倒れ」です。要介護者の希望を叶えたいという気持ちはとても分かりますが、介護者が倒れる前に「施設介護」へ移行することも検討した方がいいと思います。

【LIFULL介護】

 

緊急時にすぐに対応できる

容態が急変した際などでも、「在宅介護」では難しいケアを迅速に受けることができます。

介護施設」によっては、医師や看護師が24時間駐在している場合があります。医療的なケアが必要な要介護者の場合、「在宅介護」よりも安心できることが多い様です。

【LIFULL介護】

 

<「在宅介護」のデメリットとは?>

24時間いつでも自由に会えない

介護施設」では、要介護者と面会できる時間が決まっている場合があります。「在宅介護」では24時間いつでも要介護者と会うことが出来ますが、「施設介護」ではそうはいきません。

さらに、昨今のコロナ禍において、面会の制限を設けている場合もあり、面会ができない場合もあります。

 

制約の多い生活を強いられる

「施設介護」では、食事や入浴など様々な事に対して時間が決められています。

突然「入浴」したくなったとしても、好きな時間に入浴することは出来ません。

食事をする場所など、他の要介護者と共有するスペースでは、部屋の温度を好きな温度に設定することも出来ません。

この様に、自分の想い通りになることが少なく、集団生活によるストレスを感じることがあります。

 

費用負担が多い

介護施設」に入居する為には、多かれ少なかれ「費用」がかかります。

月々の費用だけでなく、入居する為に一時金が必要な施設もあります。

「在宅介護」と「施設介護」で同じ「介護サービス」を受けるとしても、「施設介護」の方が費用負担が重たくなることがあります。

 

<「在宅介護」と「施設介護」の費用の違いは?>

「施設介護」のデメリットの1つとして「費用負担が多い」ことを挙げました。それでは実際に「在宅介護」と「施設介護」で費用負担は異なるのでしょうか?

出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(2021年度)

 

こちらは、月額の介護費用を「在宅介護」と「施設介護」で調査した結果です。

赤枠で囲ったところをご覧いただくと、「在宅介護」では1万円~7万5千円が多いですが、「施設介護」では10万円~15万円以上が多い様です。

やはり「施設介護」のネックは「費用」ということです。

 

<まとめ>

前回、今回と、「施設介護」の現実を様々なデータとともに見てきました。

介護者が働いていたり、要介護者の介護度が重たい場合は、「在宅介護」には限界があり、多くの方が「施設介護」を選択しています。

「在宅介護」も「施設介護」も一長一短があります。

それぞれのご家庭の状況に合わせて、要介護者と介護者、双方の負担が軽くなる適切な方を選べるようにしたいですね。

【LIFULL介護】

 

次回は最近よく話題になる「介護離職」について考えてみたいと思います。是非次回もご覧ください。

 

 

「在宅介護」の限界は?認知症も要因に?

前回のブログでは「介護施設」の種類を解説しました。今回は「施設介護」の現状をデータを基に見ていきたいと思います。

 

<施設介護考える要介護度は?>

介護する家族等がいる場合、まずは「在宅介護」にて介護サービスを利用することから始める方が多いと思います。しかし、「要介護度」が進むにつれて「施設介護」を検討し始めます。そこで、どれぐらいの「要介護状態」になった際に、「施設介護」を検討したり、申請したりするのかを見てみましょう。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「全国の在宅介護実態調査データの集計・分析結果(概要版)」(令和2年8月)

 

こちらは、要介護度別・施設等検討の状況のグラフです。

こちらを見ると、「要介護度」が高くなるにつれて、「施設介護」を検討する人が多くなっていることが見て取れます。

特に「要支援2」から「要介護1」、「要介護2」から「要介護3」のタイミングで、上昇率が高まっています。

これは「要介護1」や「要介護3」といった入居条件がある施設があるからと考えられます。

【LIFULL介護】

 

<「在宅介護」か「施設介護」か>

介護者が介護を行った場所、すなわち「在宅介護」を選択したか「施設介護」を選択したかを見てみましょう。

出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(2021年度)

 

こちらは、介護を行った場所を「要介護度」別に表したグラフです。

やはり「特別養護老人ホーム」に入居できる「要介護3」以上になると、「施設介護」を選ぶ人が多くなる様です。

【LIFULL介護】

 

<「介護施設」に入居する時の状況は?>

それでは実際に、「施設介護」を選択する時の要介護度を見てみましょう。

出典:LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」

 

こちらは、被介護者の施設入居前の介護度の状況を表したグラフです。

こちらを見ると、介護施設に入居するとなると介護度が重たいから入居すると思われがちですが、実際は半数以上が「要介護2」以下で入居していることが分かります。

【LIFULL介護】

 

認知症の人は在宅介護できない?>

「在宅介護」を行っている方が「施設介護」を検討し始める時に、「認知症」の症状の有無というのが大きく関わっている様です。

そこで、「介護施設」に入居する前に「認知症」の症状が有ったか、無かったか、を見てみましょう。

出典:LIFULL senioe「介護施設入居に関する実態調査」(2020年11月)

 

こちらを見て分かる通り、「介護施設」に入居する時に多くの人が「認知症」の症状があった様です。

その「認知症」の症状はどの様なものかというとこちらです。

出典:LIFULL senioe「介護施設入居に関する実態調査」(2020年11月)

 

「物忘れ、記憶力の低下」「理解力、判断力の低下」等の症状が見られると、「在宅」で介護をすることは難しくなってくるのかもしれません。

以上のことから「介護施設」へ入居を検討した人のうち、8割の人に「認知症」の症状がありました。認知症の症状が出てくると、介護の負担がより増えるということが分かります。

認知症」についてはまた別のブログで掘り下げていきたいと思います。

 

<まとめ>

介護を担うことが出来る家族等がいる場合、まずは「在宅介護」を行う方が多いと思います。しかし、「要介護度」が重たくなったり、「認知症」の症状が出てきた場合、「在宅介護」から「施設介護」への移行を検討される方が多い様です。

【LIFULL介護】

 

前回のブログでも解説しましたが、もう「在宅介護」を行うことが限界なので、「施設」を探そうと思っても、条件に合う施設はすぐには見つかりません。

もしかしたら「施設介護」を選択するかもしれない、ということを念頭に置きながら、例え「在宅介護」を行うことに問題がなかったとしても、「施設介護」につい検討を始めた方がいいのかもしれません。

最近は、インターネットで【LIFULL介護】手軽に知らることもできます。

次回は「施設介護」のメリットとデメリットを解説したいと思います。是非次回もご覧ください。