「在宅介護」には3種類あります
「介護」は介護する場所によって、「在宅介護」と「施設介護」の2種類に分けられます。そこで今回から数回にわたって、「在宅介護」の現実について考えてみたいと思います。
<在宅介護とは>
「在宅介護」とはその名の通り、在宅で介護を受けることをいいます。
「介護」が必要な状態になると、要介護度によって差はありますが、日常生活に常に何かしらの支援が必要な状態になります。「施設」に入所する方もいらっしゃいますが、住み慣れた家で家族等に介護されたいと願う方も多くいらっしゃるのが現実です。
それでは、「在宅介護」の現状を様々なデータとともに見ていきます。
<終の棲家の希望>
皆さんは、「終の棲家」はどこにしたいと思っていますか?そんな事、考えたこともないと言う方が多いと思います。そこで内閣府がとった「身体が虚弱化した時に住みたい住宅」という調査結果を見てみたいと思います。
出典:内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」(平成30年度)
内閣府がこの様な調査を行っていることに驚きを感じますが、「身体が虚弱化した時に住みたい住宅」のベスト3は下記の通りです。
- 現在の住宅に、特に改修などはせずにそのまま住み続けたい
- 現在の住宅を改修し住みやすくする
- 介護を受けられる特別養護老人ホームなどの施設に入居する
この結果から分かる様に、多くの方が「住み慣れた自宅」を終の棲家としたい様なのです。やはり、人生の最期は「施設」や「病院」ではなく「自宅」で迎えたいですよね。私も今のところそう思っています。そこで似たような調査結果をもう一つ見てみましょう。
<最期を迎えたい場所>
こちらも内閣府の調査で「完治が見込めない病気の場合に迎えたい最期の場所」の結果です。
出典:内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」(平成30年度)
完治が見込めないと分かっていても、最期の場所として「自宅」を選ぶ方が多い様です。こちらの調査は、恐らくまだ要介護状態でない方や、末期の病に侵されていない方を対象にしているのではないかと思いますが、やはり住み慣れた「自宅」で最期を迎えたいという思いは分かる気がします。
それでは「在宅介護」の現実を見ていきましょう。
<「在宅介護」の3つの種類>
「在宅」での介護には、介護者と要介護者の物理的な距離によって3種類に分けられます。例えば、子どもが親の介護をする場合の例で見てみましょう。
【近距離介護】
要介護者と同居はせず、近くに住んで通いながら介護をすること
これは、子どもが親の暮らす地域に住んだり、親が子どもの住む地域に引っ越したりして近距離に住みながら介護をします。
親が重度の要介護状態でない場合に、このパターンを選ぶ方が多い様です。
同居して介護するよりも、お互いの生活スタイルを維持できるので、比較的ストレスが少ない方法です。
一方で、親が子どもの住む地域に引っ越しをすると、これまでの近所付き合い等が無くなってしまうので、自宅に引きこもりがちになってしまうというデメリットがあります。
【遠距離介護】
要介護者と同居せず、遠くに住んで通いながら介護をすること
子どもが遠く離れた場所に住んでいる親の元に、介護の為に新幹線や飛行機で移動して通います。
お互いの生活環境を変えなくていいという点がメリットですが、かなりの交通費が負担となります。さらに、体調が急変した際など、緊急時にすぐに駆け付ける事ができません。
【同居介護】
要介護者と同居して介護をすること
もともと同居している場合はもちろん、親が住む家に子どもが引っ越してきたり、子どもが住む家に親が引っ越してくる場合もあります。
常に見守っていられるので、体調が急変した時など、緊急時にすぐに対応が出来ることがメリットです。また、同居することで家賃を抑えることもできます。
一方で、親と密に接することになる為、人間関係がストレスになったり、介護と日常生活のメリハリが無くなるので、ストレスが溜まるというデメリットもあります。
この様に一概に「在宅介護」と言っても、3種類の方法があります。そしてそれぞれにメリットとデメリットがあります。それぞれのご家庭の事情がある為、どの「在宅介護」を選ぶかは、それぞれのご家庭次第です。
<介護帰省割引とは>
「遠距離介護」をする場合、負担となるのは交通費です。そこで、飛行機を利用する際には「介護帰省割引」というのを活用することができます。残念ながら新幹線にはありません。
例えばJALの場合はどういう制度なのかを見てみましょう。
【利用条件】
満12歳以上で要介護または要支援認定された方の「2親等以内の親族の方」と「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」ならびに「子の配偶者の父母」に限り利用できます。
利用できる介護者の範囲は広いですね。
【予約・販売期間】
搭乗日の330日前の午前9時30分から搭乗当日まで
前もって計画した日に活用することもできますし、突然行かなくてはいけなくなった場合にも活用出来る様です。ただし、突然行かなくてはいけなくなった場合は、そもそもその飛行機に空席が無いとダメですね。
【申し込みに必要なもの】
次の3点に加え、「介護帰省割引情報登録申込書」と「JALマイレージバンクお得意様番号」が必要です。
- 介護保険証、介護認定結果通知書
- 戸籍抄本、戸籍謄本
- 公的書類(現住所記載)
手続きに多少の煩雑さはありそうですね。
【有効期限】
介護帰省割引の有効期限は、登録日から1年後の同日までとなっています。有効期限の更新手続きは、有効期間満了日の3カ月前~1年後まで出来ます。
この制度を利用する場合には、忘れずに更新手続きをとる必要があります。
【割引運賃】
どれぐらい運賃が安くなるかというと、羽田から福岡までの例で見てみます。
10月16日の7:10羽田発9:00福岡着の運賃の場合、
大人普通運賃・・・45,730円
特便割引3・・・27,980円
株主割引・・・23,130円
介護帰省割引・・・25,930円
となっていました。
特便割引3というのは、搭乗日の3日前までの予約で利用できる運賃です。これを見ると、「介護帰省割引」はお得ではありますが、「株主割引」の方がお得の様です。ただし、「株主割引」は、保有する株数によって利用できる回数の上限があります。
その為、介護をする為に飛行機を利用する際は、「介護帰省割引」の申請をしておいた方がよさそうですね。
<交通費を安く済ませるには>
「遠距離介護」を行う場合は、できるだけ交通費を抑えたいと思います。前述した通り、航空各社には「介護割」の様なものも用意されていますが、実際はもっと安く航空券を購入できる場合もあります。
しかし航空会社のサイトを1社ずつ自分で調べるのは大変ですよね。そんな時、この様なサイトを活用してみてください。
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1社ずつ自分で調べる必要がなく、出発地と到着地を入力するだけで、一番安い航空券を見つけることが出来ます。
「介護」にはとても時間がかかります。実際に「介護」に費やす時間以外の手間を、どれだけ省けるかが大切です。最近は便利なサービスがたくさんあります。この様なサービスを上手く利用して、できるだけ「介護」の負担を減らすことが、「在宅介護」を長く続けていく鍵になります。
<まとめ>
多くの方が最期の場所として「自宅」を希望します。その為、介護する人はその希望を叶えようと「在宅介護」を選択されているのが現状です。一概に「在宅介護」と言っても、同居しての介護から、遠距離介護まで様々です。しかし「在宅介護」には様々な問題点があります。次回のブログでは、引き続き「在宅介護」の現状について考えていきたいと思います。